DVの男性被害者支援

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昨年の第2回定例会の一般質問では、「DVの男性被害者支援」を取り上げました。

その内容と答弁を、以下に掲載します。
長文ですが、よかったら読んでください。

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平成28年5月31日 一般質問
DVの男性被害者支援について
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配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律、通称DV防止法が平成19年に改正され、都道府県のみに義務づけられていた配偶者暴力相談支援センターの設置が、市町村についても努力義務とされました。

この改正を受け、当区においても、ことしの4月からDV相談専用電話が設置されました。増加、深刻化するDV被害に歯どめをかけるべく、住民に身近な基礎自治体での設置は歓迎されるべきです。

ところが、専用電話の設置を告知する区のウエブサイトを拝見すると、気になる表現があります。「配偶者などからの暴力(DV)は主に女性の被害者が多くなっています。」との文言です。 これは告知文本文の最初の行に出てきます。DV問題の歴史をひもとけば、確かに女性の被害が圧倒的に深刻で、問題視されてきました。これは疑いようのない事実でしょう。

しかし、社会問題は時代に応じて変化します。近時、ようやくDVの男性被害者について取り上げられる機会がふえてきました。警察庁の統計によれば、平成27年のDV被害の男性比率は12%、平成22年の2.4%から実に5倍にふえています。さらに、平成26年の内閣府の調査により、男性は女性以上にDV被害を相談できない傾向にあることが浮き彫りになり、警察庁の統計も氷山の一角にすぎないことが懸念されます。

男性被害者が相談を躊躇する大きな要因がジェンダーバイアスでしょう。いまだに、女性から暴力を受けたくらいでといった偏見があり、被害を訴えることを恥だとする意識が残存しています。このバイアスの問題は根が深く、もう一歩踏み込むと、DVの男性被害者といった場合、女性加害者をイメージする傾向がまだまだあるのではないかと思います。

しかし、当然のことながら同性愛者間でのDVも起こり得るわけで、加害者男性、被害者男性という事態も、DV問題を考える際には想定する必要があります。

さて、このようなDV問題の裾野は近時拡大しているわけです。それにもかかわらず、当区ウエブサイトの「配偶者などからの暴力(DV)は主に女性の被害者が多くなっています。」との文言。家庭内で妻から日々罵倒され、暴行を受けている男性が、友人、知人にも相談できず、一縷の望みをかけて当区のウエブサイトを見たら、どう思うでしょうか。心が折れてしまいます。

そこで、まず伺います。区がバイアスをかけてしまう必要性は全くなく、ウエブサイト上の当該文言を早急に削除すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

引き続き、DV相談専用電話について伺います。
4月19日に設置されてから現在に至るまでの相談件数をお答えください。また、相談件数のうち、男性被害者は何名いらっしゃいましたか。

仮にさきの警察庁が公開した統計の男女比と相談者の男女比に乖離があった場合、全国平均以上に泣き寝入りしている男性被害者の方たちがいらっしゃる可能性があり、対策が必要と考えますが、区の見解をお聞かせください。

次に、実際に相談を受ける相談員についてです。
区が作成したパンフレットを見ると、専門の女性相談員による相談という表現になっており、女性である点が強調されています。これは相談者の多くが女性という前提のもと、同性の方が望ましいという配慮の結果なのだと思います。

しかし、裏を返せば、男性被害者からしても男性相談員のほうが話しやすいということになるのではないかと思います。男性相談員の配置についても検討すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

また、仮に男性相談員を配置する余力がないとしても、男性被害者からの相談については、ジェンダーバイアスに配慮した対応が求められますが、相談員用のマニュアルはあるのでしょうか。あるいは、現在なくても、今後作成する計画はあるのでしょうか、お伺いします。

さらに、先ほど同性愛者間のDVについても触れましたが、この点について、福岡県が画期的な対策をとりました。本年度からLGBTのDV被害専用相談窓口を開設することを決定したのです。当区においてもこういった先進的な取り組みを検討すべきと考えますが、見解をお聞かせください。

次に、これは男性被害者という視点から若干外れますが、区のDV相談窓口の受け付けは、平日午前9時から午後5時に限られています。これだと、働いている人はなかなか相談することができません。例えば練馬区では、平日は午後7時まで、祝休日も年末年始を除き午後5時まで受け付けています。

また、当区の相談窓口は特定非営利活動法人メンタルケア協議会に委託しているようですが、この法人の相談員の求人情報を拝見したところ、勤務時間を午前8時30分から午後8時30分までのうち、実動5時間から9時間とする記載があります。そうすると、区が依頼すれば、相談受付時間は延ばせるということなのではないかと思います。

そこで伺います。相談受付時間の延長及び土曜日の受け付けを行うべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

以上、DVの男性被害について質問してまいりましたが、この問題を取り上げたきっかけは、冒頭に述べたとおり、区のウエブサイトの記載です。たかがウエブサイトの表現ではないか、そう思う方もいらっしゃるかもしれません。また、男性被害者向けの相談窓口は東京ウィメンズプラザが提供しているからよいではないか、そう思う方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、精神的に追い詰められ、そして男性のくせにという偏見にさらされる男性被害者にとっては、細かい表現さえ彼らの傷口を広げる凶器となり得るのではないでしょうか。

ウィメンズプラザ、日本語にすれば女性広場です。その名称が、男性被害者にとって一歩を踏み出す障害になる可能性を私はどうしても想像してしまいます。

真の平等とは、条件が同じなのであれば、属性に関係なく同じ扱いを受けること、同じ救済を得られることではないでしょうか。

女性被害者が多いからといって、男性被害者がないがしろにされてよいはずがありません。女性以上にDV被害を相談できない傾向にあるのであれば、相応の配慮があってしかるべきです。

以上を踏まえ、最後に、男性のDV被害について区としてはどのように認識し、対策を検討しているのか、改めてお尋ねし、私の質問を終わります。

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区の答弁 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

◎区民生活部長(井口順司) 私からは、DVの男性被害者支援についての御質問にお答えいたします。

初めに、お答えが前後してしまいますが、男性のDV被害への区の認識と対策についてお答えいたします。

配偶者からの暴力被害、いわゆるDVにつきましては、今日、その被害者に男性も女性もおられると認識しております。そのため、今般整備した配偶者暴力相談支援センターでは、女性だけでなく男性からの相談も対象としておりますが、実態として被害者の多くは女性でありますので、支援体制は女性の視点に重きを置いたものとしております。
次に、主に女性の被害者が多くなっているとのホームページの記述についてですが、DVの被害者は男性でも増加しているものの、依然として9割が女性でありますので、この記述を削除する考えはございません。

次に、配偶者暴力相談支援センターの相談件数ですが、4月19日から5月25日までに45件ございましたが、その中に男性からの相談はございません。警視庁の統計資料と区の相談件数の男女比の乖離については、区の相談は開設から1カ月ばかりのものでありますので、現段階での比較は時期尚早と捉えております。

次に、男性相談員の配置についてですが、相談者の多くが女性である現状から、考えておりません。男性相談員への相談を求められた場合には、東京ウィメンズプラザで実施している男性相談専門の相談員による男性のための悩み相談を御紹介いたします。
次に、相談員用のマニュアルについてのお尋ねですが、相談に当たっては、東京都のDV相談窓口でも使用している東京都発行の「配偶者暴力被害者支援ハンドブック」や、内閣府男女共同参画局発行の「配偶者からの暴力 相談の手引」をマニュアルとして使用しております。区独自の相談マニュアルについては、今般開設した配偶者暴力相談支援センターでの相談状況などを見て考えてまいります。

次に、LGBTのDV被害専用相談窓口に関するお尋ねですが、現在でもDVに関する相談は、性的マイノリティーの方も含め対応しております。福岡県の事例をお示しされましたが、県レベルとは状況が異なりますので、専用相談窓口の設置は考えておりません。

私からの最後になりますが、配偶者暴力相談支援センターの相談受付時間についてですが、センターは区役所内に設置していることから、開庁時間内を基本としております。時間外の対応については、東京ウィメンズプラザや警察署でも相談を受け付けておりますので、お急ぎの場合はこちらを活用していただきます。
 私からは以上でございます。

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